- 活用・選定
工場向けサイネージの活用事例と選び方
- 公開日
- 監修
- 株式会社カテナス 代表取締役 吉村 克生
「工場内のお知らせが、すべての従業員に行き渡らない」と困っていませんか?
交代勤務で朝礼に参加する人が異なったり、個人のメールを確認しにくかったりする工場では、同じ情報を全員に届けるのが難しいことがあります。工場向けサイネージは、従業員が通る場所のディスプレイに、お知らせや作業に関する情報を表示する手段のひとつです。
導入時に決めたいのは、画面の大きさだけではありません。誰が、どの場面で情報を見るのか。その情報を、誰が更新するのか。この組み合わせで、設置場所も必要なソフトの機能も変わります。
この記事では、工場向けサイネージの主な用途とメリットを整理し、実際の導入事例や活用例から、表示内容・設置場所・更新方法・ネットワーク構成の選び方を解説します。
工場向けサイネージとは?紙の掲示板との違い
工場向けサイネージとは、工場内に設置したディスプレイを使って、お知らせや注意事項、作業に関する情報などを従業員へ伝える仕組みです。
紙の掲示板との大きな違いは、表示する内容を入れ替えやすく、複数の場所へ同じ情報を配信できることです。例えば、各棟に同じお知らせを掲示する場合も、一か所ずつ貼り替えるのではなく、複数のディスプレイへまとめて配信できます。
表示できる内容は、画像や動画、PDFだけではありません。利用するソフトによっては、ExcelやCSVのデータ、Webページなどを表示したり、時間帯に合わせて表示内容を切り替えたりすることもできます。
担当者の更新作業から、見る人の動線まで確認します。
ここまでで、サイネージは単に紙を画面へ置き換えるものではなく、情報の更新元・表示先・確認方法まで含めて設計する仕組みだと整理できました。まずは、工場でサイネージを活用することで、どのようなメリットがあるのかを見ていきます。
工場でサイネージを活用するメリット
作業に入る直前に、必要な情報を確認しやすい
交代勤務や作業前など、全員が同じタイミングで情報を確認できない場面があります。作業エリアの入口などに当日の注意事項や工程変更を表示すれば、作業に入る前に確認する機会をつくれます。
更新頻度の高い情報を共有しやすい
生産計画や実績、ラインの稼働状況、フォークリフトやクレーンなど共用設備の利用予定など、状況に応じて変わる情報の共有にも活用できます。
紙の貼り替えや配布作業を減らすことができる
デジタルサイネージなら、構成によって複数の画面へまとめて情報を配信できます。ExcelやPDFなど、普段使っているファイルを活用できれば、既存の業務を活かした更新もしやすくなります。
こうしたメリットを実際の現場で活かすには、誰に・どの情報を・どこで見せるかを具体化する必要があります。次に、工場内で想定される用途ごとに、表示内容と運用上の注意点を見ていきます。
工場向けサイネージの主な活用方法と表示内容
| 目的 | 表示内容の例 | 設置場所の候補 | 運用時のポイント |
|---|---|---|---|
| 交代勤務での情報共有 | 工場内のお知らせ、点検予定、当番表 | 出退勤口、休憩室 | どのシフトの従業員にも確認する機会があるか |
| 安全に関する周知 | 当日の注意事項、通行ルートの変更 | 入場前の待機場所、休憩室 | 掲載終了や解除まで含めて運用を決める |
| 生産・業務情報の共有 | 生産計画、実績、進捗状況 | 作業前の確認場所、生産ライン周辺、事務エリア | 元データの更新頻度と画面への反映間隔 |
| 共用設備の利用状況 | フォークリフト、クレーンなどの利用予定・空き状況 | 作業場、設備を利用する人が確認しやすい場所 | 誰が元情報を更新するか |
| 工場内の食堂案内 | 今日のメニュー、販売状況、お知らせ | 食堂入口、注文前に見られる場所 | メニュー登録と販売状況の更新を誰が担当するか |
| 来訪者への情報発信 | 製造工程、技術・製品、安全への取り組み、採用情報 | エントランス、受付、見学者の待機場所 | 工場見学や採用面接など、来訪目的に合わせて内容を切り替える |
※いずれの用途でも、更新担当や更新タイミングなどの運用ルールを事前に決めておく必要があります。
工場でのサイネージ表示イメージ
交代勤務のお知らせは、見る時間帯まで考える
日勤者が見る時刻だけに表示しても、夜勤者へ同じ情報が届くとは限りません。各シフトの出退勤時刻や休憩時間に合わせて、必要なお知らせを確認できるようにします。
生産情報の表示では、データの取得元も確認する
生産実績を表示したい場合、最初に確認するのは、その数字がどこに保存されているかです。Excelに入力しているのか、生産管理システムからCSVを出せるのか、Webのダッシュボードを利用しているのかによって、連携方法が変わります。
実務上のポイント
臨時情報は表示開始の速さに目が向きますが、解除条件と担当者が曖昧だと、古い注意事項が残って現場の判断を迷わせます。登録時に掲載期限を設定し、期限後の表示や解除確認まで決めておきましょう。
このように、同じ工場向けサイネージでも、表示する情報によって、更新頻度や掲載期間、更新担当は異なります。続いて、実際の導入事例と活用例から、担当者の分担や情報の出し分けをどのように設計するかを確認します。
実際の事例と活用例から分かる、運用設計のポイント
全社共通のお知らせと拠点ごとの情報を両方表示する
複数の工場や事業所を持つ企業では、本社からの共通連絡と、各拠点からのお知らせを同じ画面で扱いたいケースが多くあります。
ロジスティードコラボネクストでは、20事業所・合計30台にKI Signを導入し、本社・本部用の情報発信フォルダーとは別に、事業所用のフォルダーを用意しています。各事業所からのお知らせがある場合は、本社・本部の情報とあわせて表示できるよう、画面を自動で分割します。
ロジスティードコラボネクスト様
社内の情報発信用にインフォメーションデジタルサイネージを導入
導入事例を見る→
作業変更や品質情報は、現場で確認しやすい場所に表示する
当日の作業変更や工程指示、品質上の注意事項などは、作業前や作業中に確認できる場所へ表示します。内容だけでなく、対象者が自然に目にする設置場所を選ぶことが重要です。
安全情報は、周知用と教育用で使い分ける
「見てもらうためのサイネージ」と「操作して学ぶためのサイネージ」では、必要な機能や設置場所が異なります。目的を分けて設計すると、必要な機器や操作方法を整理しやすくなります。
これらの事例と活用例に共通するのは、画面の機能だけでなく、「誰が更新するか」「どこで見るか」「どのように使うか」を先に定めている点です。こうした運用条件を自社に当てはめるため、次章では導入前に確認したい項目を整理します。
工場向けサイネージの選び方:導入前に確認したい5つの項目
01設置環境に合う機器を選ぶ
実際に読む位置から文字が判別できるか、照明や窓の反射で見えにくくないかを確認します。粉じん・温度・振動などがある場所では、設置環境が機器の仕様に合っているかも確認します。
02現在使っているファイルをそのまま活用できるか
お知らせはPDF、当番表はExcelなど、現在使っているファイルを確認します。既存のファイルをそのまま活用できれば、同じ内容を入力し直す作業を減らせます。
03ネットワーク環境と更新方法に合う構成を選ぶ
| 構成 | 向いているケース | 導入前の確認事項 |
|---|---|---|
| スタンドアロン | 少数台を現地で更新したい | 更新のたびに各画面へ行けるか、USBメモリでの運用が可能か |
| LAN | 社内ネットワークで複数画面をまとめたい | 社内ネットワークを利用できるか、配信に使う共有フォルダーやファイルサーバーを用意できるか |
| クラウド | 離れた拠点を遠隔で管理したい | インターネット接続の可否、回線環境、データの取り扱い |
04自社に必要な機能が標準対応か確認する
ExcelやCSVの情報を画像として表示するのか、ファイル内のデータを取り込むのかによって、更新の手順や必要な設定は変わります。実際に使うファイルや運用を示して確認しましょう。
05初期費用だけでなく、運用費用まで確認する
ディスプレイやソフトのほか、再生端末、設置工事、ネットワーク、初期設定、連携設定、保守などを含めて検討します。導入後の更新作業にかかる時間も運用コストのひとつです。
ここまでの5項目を整理すると、必要なのは多機能な製品ではなく、自社の更新方法や設置環境に無理なく合う仕組みです。
サイネージ運用を定着させるためのポイント
-
01
役割を決める
- 本部:全社向け原稿
- 現場:作業・稼働情報
- 担当者:掲載終了を確認
-
02
日常業務に組み込む
- 既存のExcel・PDFを活用
- 新しい入力作業を増やさない
-
03
現場の声で見直す
- 文字サイズ・表示時間を調整
- 情報量・設置場所を見直す
↺ 継続的に見直し、無理なく続けられる運用へ
更新担当と責任範囲を決める
情報ごとに作成・更新・掲載終了の担当を決め、複数部門が関わる場合は承認方法も整理します。
日々の業務フローに更新作業を組み込む
いつものExcelやPDFなど既存業務の情報を活用し、サイネージのためだけの入力作業を増やさないことが重要です。
現場からのフィードバックを反映する
従業員の声をもとに、文字の大きさ、表示時間、情報量、設置場所を定期的に見直します。
本部が全社向け原稿を作り、現場が作業・稼働情報を更新するなど、情報の性質に合わせて更新範囲を分けると、情報の鮮度を保ちながら作業負担を分散できます。
工場で使いやすいデジタルサイネージソフト「KI Sign」
カテナスが提供する「KI Sign」は、PDF・Excel・CSV・Webなど既存の情報を活用しながら、工場の運用環境に合わせた構成を検討できるデジタルサイネージソフトです。
日々の情報を更新・管理しやすい
専門的な知識がなくても、コンテンツの登録・更新・配信を行いやすく、日々の運用負担を抑えることを重視しています。
既存のPCやネットワーク環境を活かせる
現在の設備やネットワーク環境を確認し、活用できるものを活かした構成を検討できます。
工場ごとの運用やシステムに合わせられる
外部データや既存システムとの連携など、企業ごとの運用や将来的な活用に合わせたカスタマイズにも対応します。
工場向けサイネージについてよくある質問
Q1: 社内ネットワークがなくても利用できますか?
A1: 可能です。USBメモリなどで更新するスタンドアロン構成があります。遠隔更新が必要な場合は、クラウド構成などを検討します。
Q2: 工場向けサイネージはどこに設置するのがよいですか?
A2: 出退勤口、休憩室、作業エリアの入口など、対象者が自然に通り、立ち止まって確認できる場所から検討します。
Q3: 工場向けサイネージではどのような情報を表示できますか?
A3: 当日の注意事項、工程変更、点検予定、生産計画・実績、共用設備の利用状況、食堂案内、来訪者向けの会社・製品情報などを表示できます。用途だけでなく、誰が更新し、どこで確認するかまで決めることが重要です。
Q4: 紙の掲示物はすべてなくせますか?
A4: すべてを置き換える必要はありません。常に確認したい情報などは、紙や固定表示を併用する方法があります。
Q5: 工場向けサイネージの導入にはどのような費用がかかりますか?
A5: ディスプレイやソフトのほか、再生端末、設置工事、ネットワーク、初期設定、連携設定、保守などが必要になる場合があります。
まとめ:表示内容と更新担当から、必要な構成を選ぶ
工場向けサイネージの導入では、目的ごとに運用を整理することが大切です。事例や活用例を見るときも、画面だけでなく、誰が情報を更新し、現場の人がどこで、どのタイミングで確認するかに注目してください。
表示したい情報が決まったら、設置場所、データの更新元、ネットワーク、必要な機能を整理します。運用開始後も現場の声をもとに表示内容を見直すことで、継続しやすい仕組みになります。
自社に必要な機能や運用方法を整理したい方は、カテナスにご相談ください。
現在の設備やネットワーク、更新する情報、担当者の運用を踏まえながら、工場で無理なく使い続けられる構成を整理します。
工場サイネージの運用を相談する
監修者プロフィール
吉村 克生|株式会社カテナス 代表取締役
2002年のカテナス社創業以来、全ての人に優しいユーザーインターフェイスの提供を目指して、タッチパネル式入力装置やそれを制御するソフトウェアの開発に携わる。デジタルサイネージ分野では、OEMでのソフトウェア提供や「KI Sign」の展開に関わり、導入後も現場で使い続けられる仕組みづくりに取り組んでいる。











